feeljazzy’s diary

音楽・・・特にジャズの話を中心に書いていく予定です。

静音楽学と動音楽学

音楽を科学的に語る、という試みは、特に新しいものではなくて、むしろ、最初は音楽は科学だったのだし、音楽家は科学者であると言ってもいいくらいな気もする。

ただ、音楽を科学的に語る、と言った時、それを分類分けする、というのはとても大事だと思った。

第一段階は、音そのもの。もう少し広く言うと、音階の話。オクターブの関係や、オクターブ内の12音の数学的な関係などはこの段階。

第二段階は、音と音の重なり。つまり和音。音と音との関係性に依存して、調和したり、しなかったり、という違いが現れる。

ここまでは、音楽としての時間の概念は入っていない。時間の概念は、音そのものの振動数や、音と音との調和の意味でのみ介在する。その、『音そのものの』意味での時間の概念はとても大事だが、音楽を音楽たらしめている意味での時間の概念は、次の、もう少し長い時間スケールのものだろう。

第三段階が、その、もう少し長いスケールでの時間依存。物理の言葉で言うと『ダイナミクス(動的過程)』であるが、音楽の言葉ではダイナミクスというのは強弱の事を意味するのでちょっと面白い・・・。 とにかく、音から音への遷移。 和音から和音への遷移、その一例が、前回書いたような、G7→Cなどのドミナントモーションの解決感である。

物理学において、例えば力学で、力の釣り合いを議論する静力学と、ダイナミクスを議論するニュートン力学があるように、また、電磁気学において、静電気学、静磁気学のガウスの法則と、アンペール、ファラデー則の動的な世界があるように、音楽でも、静的な世界と動的な世界があり、それらは、どちらが大事というものでもなく、どちらも本質的。 

面白いのは、そのような観点は、決して新しいものではなく、標準的な音楽理論で当たり前のことであるという事。 でも、それは、科学の観点から見ると、ある種の斬新さを感じないわけにはいかない。